◆ 賃貸マンションの「明け渡しルール」! |
~ どこまでが借主負担なのか? ~
弊社で中古マンションをご購入いただくお客様の
約7割が、賃貸マンションからの住み替えです。
購入が決まると、賃貸契約を解除する必要が
あります。
しかし、その借りていた部屋の壁にガビョウの跡が・・・
このような場合、補修しないとダメなのでしょうか?
あなたはどう思われますか?
現在、賃貸住宅にお住まいの方は、「賃貸借契約書」が
手元にあると思います。いま一度確認してみましょう。
借りていたお部屋を明け渡す際に、特約や約定など
“約束事”が何かしら記載されていませんか?
記載されている内容によっては、明け渡し時に
戻ってくる予定のお金が少なくなることもあり
ますので、注意しましょう。
例えば、2DKのお部屋を保証金50万円、敷引き25万
円、家賃6万円、管理費5千円の条件で借りていると
します。(※最近では保証金が一括で払えない方の
ために礼金という形で25万円支払い・返還金なしも
あります)
そこで、よくトラブルになるのが、「解約時に
25万円返却されると思っていたが、5万円しか
戻ってこなかった!」といったケースです。
「20万円は”原状回復費用”に充当したので
5万円しか返還できない」と家主から一方的に
言われてしまったら・・・
「ハイ、わかりました」と
すぐに納得できるでしょうか?
◆ 保証金とは?敷金とは? |
そもそも「保証金」とは、
どのような役割を果たしているのでしょうか?
また、“原状回復”とはどこまでの範囲なのでしょうか?
全国的には「敷金」を預けることが一般的ですが、
関西や九州の一部では、「保証金」という名称で
お金を預けます。性質はよく似ています。
敷金は、「未払い債務・損害賠償債務・原状回復費用」
を差し引いて残額があれば、借主に返還されますが、
保証金は、あらかじめ一定の負担額(敷引き)を定め、
解約時に一部が返却されます。
上記のお部屋だと、
「保証金」として50万円預けました。
5年間借り、解約しました。
借りている期間中、賃料や管理費の未払いは
ありません。室内は丁寧に使用していたので
破損箇所もありません。
この場合、解約時に契約書どおり、25万円が
返却されます。
ここでのポイントは、退去時に部屋が汚れていても
25万円、綺麗な状態でも25万円しか返却されません。
◆ 原状回復費用とは? |
次に、「原状回復費用」とは
どのような費用なのでしょうか?
そもそも「原状回復」とは、国土交通省で
『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』の
解説によりますと、下記のように定義されています。
「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少
のうち、賃借人の故意・過失、善良な管理者の注意
義務違反、その他通常の使用を超えるような使用に
よる損耗等を復旧すること」
う~ん、・・・ちょっと難しいですね。
もう少し分かりやすく言い換えると、
借主が借りた当時の状態に戻すと
いうことではありません。
借主の不注意による損耗は、当然、
借主が修繕費を負担することになります。
しかし、通常の使用による損耗や、年数が経った
ことによる自然損耗の修繕費用は、月々の賃料に
含まれているので、借主に“原状回復”義務はない
とされています。
(※消費生活センターの解説文から一部抜粋)
では、実際にありそうな事例で見てみましょう。
■借主が退去時に修繕費を払う【必要がある】と考えられる例
◎ 引っ越し作業でついたキズ
◎ 不注意で雨が吹き込みフローリングが色落ちた
◎ キャスター付きの椅子等によるフローリングの
キズやへこみ
◎ 壁の下地ボードの貼り替えが必要なほどの
クギ穴やネジ穴
◎ ペットによる柱等のキズ
◎ 飲み物等をこぼしたことによるカーペットの
シミやカビ
◎ 日常の手入れを怠ったことにより発生した
壁や浴室等のカビ
◎使用後の手入れが悪くて取れなくなった台所の
油汚れ
■借主が退去時に修繕費を払う【必要がない】と考えられる例
◎ 家具による床やカーペットのへこみ
◎ 日焼けによる畳やフローリング、壁クロスの変色
◎ クリーニングで除去できる程度のタバコのヤニに
よる壁・天井の汚れ
◎ テレビや冷蔵庫等の後ろの壁の黒ずみ
◎ 壁に貼ったカレンダーやポスター等の画鋲の穴
◎ エアコン設置による壁の跡やビス穴
◎ 鍵の交換 (※ただし借り主が鍵を破損や紛失した
場合は借主側の負担)
・・・いかがでしょうか?
「自然消耗」や「通常消耗」は負担がなく、
誰が見ても「借主の不注意などによるキズや
汚れ・破損」は、借主の負担になります。
先日も、お客様からご相談がありました。
「退去後の補修費が掛かるので返却する金額が
少なくなると、家主から言われたのですが、
どこまでが借主の負担なのでしょうか?」
私は、「補修の見積書を家主へ請求していただき、
見積もり内容に妥当性があるかを確認し、納得できる
ものであれば支払いもやむを得ないでしょう」と
伝えました。
相談者が家主へ見積書を請求すると、急に態度が
変わり、結果、予定通りの金額を返金されたと
連絡を頂きました。
法外な請求だと感じたら、必ず見積書を請求し、
内容を確認しましょう。
相談は、いきなり弁護士だと費用も掛かるので、
地域の消費生活センターに問い合わせてみましょう。
○八尾市は「八尾市消費生活センター」
電話 072-924-8531
○東大阪市は「東大阪市立消費生活センター」
電話 072-965-0102
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